東京高等裁判所 昭和26年(う)826号 判決
被告人 ○村○雄
弁護人控訴趣意一について。
刑事訴訟法第三百八十三条第二号に規定する判決があつた後に刑の変更があつたこととは、刑罰法規の罰条に掲げられた刑が第一審判決後に軽く変更された場合を云のであつて、所論のように少年法の改正による少年の年齢引上によつて特定の被告人が第一審判決後に少年の身分を取得するに至つたような場合をも含むものではない。引例の大審院判決は本件に適切なものではない。論旨は、独自の見解であつて、理由がない。
(控訴趣意)
一、原判決は判決があつた後に刑の変更があつたから破棄されねばならない。少年法は満二十歳未満のものを少年と称し之に対し科刑の制限相対的不定期刑等の刑事処分を認めている。而して新少年法は右の如き年齢引上を昭和二十六年一月一日より実施したる為本被告人は原判決言渡の際は右に所謂少年に該当しないので定期刑を以て処断された。
乍然控訴審においては本被告人は右に所謂少年に該当し従つて少年法の適用換言すれば同法による刑事処分を受くべきものである。刑の変更とは刑法第九条に於ける刑の種類の変更のみならず刑罰に影響する主観的及び客観的事項に関し刑罰法規に改正ある場合を意味するものである。
従つて新少年法の年齢引上に伴う施行は刑の変更に該当すると云うべきである。依つて原判決はこの点で破棄されねばならない。(大審院大正十二年(れ)第九〇七号大正十二年七月十二日刑事部判決)